桧山沢滑降、実川上流部の横断〜御沢上部の滑降(2/3) 前のページへ   

◆5/3 晴れたり曇ったり、夜雨

<実川横断>
 朝は雪が堅めだったのでゆっくり8時発。まず御西岳から御鏡沢上部のカール状の斜面を飛ばす。沢身に降りすぎないうちに斜滑降で左岸の尾根に移る。大石さんはとっとと降りてしまい50mも滑りすぎ登り返してくる。それでもちっとも疲れていないから大した物だ(化け?)。


【左】御鏡沢滑降から始める  【右】豊実沢実川出合

 豊実沢とを分けるこの尾根は上部で雪庇がやや発達しているが広いので危険は多くない。末端部で左の沢に降りる当たりは雪庇もなくなり快適な滑降が楽しめる。
実川に下るこの沢は結構急斜面でデブリも多いが割れ目も少なくて快適なコース。ただ瞬間的には40度はあるだろう(写真右)。
あっという間に実川ビンカガクチ沢出合におり、かなり広い沢筋を上追流沢出合1070mまで滑降。

 出合は小さな両門の滝になっているが支流側がやや割れかけているため巻き気味に登る。 上追流沢は高速道路のように広く、登りやすくシールで快適に種蒔山の肩1720mに出る。この登りでシールのトラブル多発。やっぱりコールテックス系はのりの耐水性が悪く上手くない。(ポモカののりはほとんどトラブルがない)

<下追流沢流域から三国岳>
 尾根の反対側を下追流沢側に降りるが雪庇で遮られ少し尾根で藪をこぐ。ここからの滑降もややせまいがまずまず。下追流出会い1220mはデブリで覆われおっかなびっくり進む。
ここで12時。非常に順調でこれなら民宿まで今日中に降りれるかと思ったが。この沢が結構割れていて何回か高巻く羽目に。地形が穏やか過ぎ、周囲の山肌から雪が崩れてこないため沢中の積雪量が少ないのだ。

最後の二股のあとまた沢筋がわれ、高巻きついでに尾根まで斜面を詰め上がると案外直ぐイボ岩山への稜線へ出る。15時30分

【写真右】上追流沢から実川前川滑降コースをバックに  【中】本日2回目の滑降  【右】御沢の滑降

<三国岳南から御沢滑降>
もう良い時間なので本来ならば三国小屋に泊まりたいところだが、御沢でも、尾根道でもここからの危険地帯を荒れた天候で降りるのは危険なので何とかここだけは今日のお仕事とがんばる。
少し三国岳よりに登って御沢の滑降に移る。最初が雪庇になっているのが怖くて右往左往、最初のクレバス帯を抜け、降り始めるとなかなか快適な斜面である。谷底まで降りてちょっと登り返すと1300m台地。ここは御沢源頭、地蔵岳直下に開ける野球場ほどの雪原で中央部は一部沢と湿原に水芭蕉の蕾までが顔を出しせせらぎの音が心地よい。
16時を回り今夜の宿をこの台地に定めた。御沢さえクリアしてしまえばあとは下山だけだ。

◆5/4 川入へ下山

台地から地蔵岳左手にキックステップで100m強直上、結構堅い雪面に緊張する。 地蔵岳直下でスキーを履きトラバース、樹林帯や狭い稜線の滑降。楽しくはないが何とかスキーを使う。行きにスキーを履いたところでやっぱりシートラになる。
あとは次第に緑が増していく春の山を楽しみながら下りていく。スキーが重たいがそれほど気になることはない。私は写真を撮りながらゆっくり降りる。
マンサク、イワイチョウのお花畑、ショウジョウバカマ、タムシバ、ムラサキヤシオ、そして次第に色を増していくブナの新緑。雪は惜しいがこれほど楽しい季節はない。折から雲も晴れ、下に付く頃は時折日差しが木々の緑からこぼれる。

キャンプ場に降りてきても一輪草・ニリンソウ・ザゼンソウ・キクザキイチゲ・キケマン・ムラサキケマン・リュウキンカ・カタクリ・そしてオオヤマザクラと花盛りは続いた。一番好きな季節をゆっくりと堪能して帰路に就くことになった


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