<山域> 飯豊  97年5月1日〜4日 前夜発 3泊4日       

          桧山沢滑降、実川上流部の横断〜御沢上部の滑降   記:古元 

                  …飯豊川左岸尾根滑降転じて…   

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◆メンバ:古元、鈴木、大石 (鈴蘭山の会)

◆コース:川入キャンプ場→地蔵岳→三国岳→種蒔山→切合小屋(泊)→飯豊本山→御西小屋(泊・桧山沢赤岳沢源流部往復)→御西岳→御西沢→実川豊実沢出合→実川上追流沢→種蒔山肩→下追流沢1220m→三国岳肩→御沢右股→地蔵岳下御沢湿原(泊)→地蔵岳→川入キャンプ場長蔵小屋(泊)

◆タイム: 整理中

 飯豊の山を体系的に見るとこれが結構とらまえにくい形をしている
 登山者にとっての一般的な主脈は会津側の三国岳から飯豊本山を経て北俣岳からイブリサシに至る南東から北西へのびる稜線である。しかしこの主脈は短く飯豊の全体の中では極一部である。
 全体から見るとむしろ東西方面に伸びる幾筋にもわたる稜線が卓越してる。南から言うと吾妻方面から繋がり三国岳で主脈に連なり、瘤岩山方面から高度を下げる吾妻〜飯豊山脈、次が飯豊本山から大日岳〜蛭場山に至る烏帽子尾根(仮称)その次が北俣岳から西方の雄峰、二王子岳に至る長大な二王子尾根である。
 特に烏帽子尾根は北側に桧山沢、飯豊川、南側に実川・裏川・長走川と飯豊の銘渓の過半を南北に、そして最高峰大日岳を配し興味深い。

 過去2年都沢・赤抜ゲ沢とこの尾根付近でうろうろした我々は、大日岳から烏帽子岳、蒜場山に至るルートを沢を絡みつつ滑降するスキー縦走を試みようとしたのではあるが…

◆5/1 快晴

前夜を板下ICから直ぐの只見線の無人駅で快適に過ごした我らは新緑の中を川入りキャンプ場へと急ぐ。8時半出発。ここからスキーを担ぎえっちらおっちら、新緑や林床植物の中、登山道を登る。この前痛めた腰に実に良く効き30分も続けて歩けない。ウエストベルトを外すとザックが振り子電車状になり少しは楽だが今度は肩が苦しい。雪はなかなか現れず、スキーを履いたのは標高1200mになってからであった。

 地蔵岳から三国岳への稜線がまた岩稜状で悪い。またここで担ぎに戻り兼用靴で歩くのだがとっても足下が不安、前のめりになるとスキーが引っかかり結構冷や汗をかく。なんだか靴のフリクションが全然信用できない茸雪状になった雪稜もありいやらしい。三国小屋で14時半。ここから種蒔山までは去年はここまでほとんどスキーでこれたコースだったが、今年は全くシートラである。種蒔山直前でやっとスキーを履き、少し滑降すると切合の小屋。中へ入り込みと未だ木の香りがする新しい小屋でずいぶん大きく、綺麗だ。16時を少し廻り、今日の行動はここまでとする。

 飲み食い、うたたねの後闇の帳が訪れると春の空にこんなに星があったのかと思うほど素晴らしい星空になる。本山〜大日の稜線の上にはヘールボップ彗星が浮かんでいる。明るさはやや衰えたとは言えペテルギウスより明るい0.0等はあり尾は今まででも最も長く20度近くにはなっているだろうか。

◆5/2 晴れのち曇り、風強し

切合から本山までは草履塚のピークの向こうが岩稜状なので一旦大又沢源頭へ100m程滑降し登り返す。横着をしてヒールフリーのまま滑った私は転倒して標高差50mほど滑落する。ヒールフリーの状態で滑落するとスキーが全く邪魔でなかなか止めることが出来ない。

本山の登りは天気は良いが風が強くときどき吹き倒されそうになる。広大な雪原を大日岳の方にシールで滑るのはとても気持ちよい。しかしここもまた所々雪が切れる。御西小屋まできて長考。ここで去年より3mは雪が少ない。スキーを背負ってあの風に吹かれたら大日直下の急斜面では結構危険を伴う。また予想以上に雪が少なく藪が出ている。私の体調も風邪気味で足腰が痛い。などからとりあえず今日の行動はここで止めて、様子を見ることにし、代わりに桧山沢の源頭を滑ってくることに決めた。


 と言ってもまだまだ時間はある。小屋でひとしきり休んだ後 重荷を小屋に置いて檜山沢へ、一旦沢を滑降した後赤岳沢を分ける子尾根をトラバースして赤岳沢左俣源流を滑る。特に赤岳沢左股源頭は素晴らしい大斜面で雪質も良く思う存分大パラレルを楽しめる。約高差600mの一瞬の快感に身を委ねた後、とっておきのビールとうたた寝のあと登り返す。帰った頃はすっかり山は雲に包まれていた。

今日は御西小屋は人が多く、鈴木氏は蒜場山からきた下越山岳会のパーティに乱入し飯豊話を聴きまくっているがやっぱりこれまでの行動を話すと結構あきれられている。 さて天気予報は3日は良いがその後は回復しないとのこと。この先もかなりの藪こぎを予想されるし、天気まで悪くてはかなわないと早々に転新計画を考える。去年構想だけ考えて置いた実川上流部を横断して三国岳方面に撤退することにする。万事滞り無く進めば明日は民宿で山菜料理とソバが楽しめよう。


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