(栂池から初雪山、大平:続き ↑前にもどる

◆3/20:晴れ後小雪
泊地6:35→アイスフォール跡下7:30〜7:40→白高地右手中央8:40〜9:00→長栂山10:00 〜10:15→黒岩平11:10〜30→・→さわがに山13:25〜40→北又谷渡り14:20〜40 →1200 M台地(泊)15:30

 天気図によると大きな崩れはないものの北から高気圧が張り出して弱い冬型 になりそうである。好天にはなりそうもないが、大崩れはしないと考えられる。 今日は黒岩山に14時に着けそうも無い場合は引き返すことに決めての出発とす る。黒岩山で15時までに往路を引き返せば、白高地のかなり下まで戻ってこれ るとの計算である。
 <白高地から長栂山>
 天気は薄曇り。雪面はかなり凍っている。右岸から次第に沢筋に下り、太古 の氷河時代にはアイスフォールだったと考えられる急斜面を登りきる。白高地右 手カールにさしかかると雲もはれ、伸びやかなパラダイス的景観の中に飛び出す 。大宮さんが馬力に物を言わせ飛ばしていくのを微妙なコース取りで遅れないよ うに付いていく。朝日岳と長栂山、五輪山に囲まれたこの斜面はいつもながら山スキーには素晴らしいフィールドだ。登るだけでここを滑れないのはとても残念 であるが仕方がない。

 さて長栂山にたどりつき長い登りもようやく終わり、ほっとして頂上でビー ルで乾杯をしていると、山の神の怒りか、嫉妬か。にわかに暗雲がたれこめ雪さ え舞ってきた。これから大滑降に移るのに実に残念である。

 <長栂山北面大滑降>
 視界100〜500M程度、広い大斜面を時々磁石を振りつつ滑る。雪は緩 斜面でもまずまず滑りまあ快適なほう。下るに従いますますコースは広くなり、 視界は逆に悪くなってきた。1度は黒岩山だと思ったピークはその前の右手のコ ブであった。時折ガスが薄くなり黒岩沢方面の斜面が見える。完全に無木立の広 大な斜面が続いている。また来てみたいものである。

黒岩山を越えて次の登りからはシールを貼って進む。特に細いところはなく、 ひろやかな尾根筋であり困難さは少ない。ただ視界が悪くなると広いだけに現在 位置が分かりにくやや時間がかかる。晴れていればシールが快適であろう。ただ 右側には所々高さ数十m、ツヅラ岩のような巨大な雪屁が張り出していて恐ろし い。ほんの40M前の雪屁がなんの理由もなくズッゴーンと、スローモーション のように崩れた時は肝を凍らせ3mは飛びすさる。大雪崩が発生したと想像され るがとてものぞき込む勇気はない。

 <沢蟹山から北又谷源流部横断>
この区間は少し予定より遅れ気味だが、まずまずの時間に沢蟹山の頂上にたど り着く。ピークは雪がはげ気味で、沢蟹山とかかれたプレートと三角点が雪から 姿を見せていた。ここで今日2本目のビールを1本あけて3人で回し飲み。のど も渇いていて実においしい。
 サワガニ山からの滑降は快適な斜面であるが西斜面のためクラスト気味で少 し滑りにくい。割と容易にねらっていた尾根に入る。この尾根、実にゲレンデの ようになっていて滑るところは木も生えていなくておあつらえ向きの斜面だ。

←Photo/古元:沢蟹山からの滑降

 下の方はブナの林が出てくるが、我々のルートはまるで用意されていたよう に開いている。右手の沢へ急斜面を下る頃は雪質もよくダイナミックに下る。ガ スが薄れ向こう側が見え始めると初雪山への斜面が高い。明日のコースはかなり 雪壁状になっていて行けるかどうか心配になってきた。地図を見ながら鳩首協議 するが、スキーを脱げば時間がかかっても何とか行けるだろうとの結論になった 。

下り着いた北又谷は完璧に埋まっていてどこにも穴など開いていない。 休憩 して梅酒を飲んでいる我々を、70M程向こうからカモシカが振り返って不思議 そうに眺めていた。ここから急斜面をひとしきり登り、初雪山側にある台地状の 地形が今日の泊まり場だ。美しい森の平地の中15時半にテントを張り終える、 やはりこのくらいに着くとテント生活も余裕があって良いものだ。汗をかいたせい かつまみに持ってきたウルメ鰯のめざしを焼いて食べると塩っ辛くてすこぶるお いしい。

◆3/21:雪後晴、<初雪山へ>
泊地6:50→・・・→初雪山11:20→北ピーク11:40〜12:00→北西尾根→北尾根 →・→林道13:35→・→16:20大平−−境鉱泉−−越後宮崎駅18:47−−−−東京 駅22:24
 今日は次第に天気が良くなるはずであるが朝はまだ雪が舞っている。40cm ぐらいの新雪をラッセルして進む。時折ガスが晴れ北又谷源流部の景観が浮か び上がる。薮もほとんどない美しい白い景色だ。北又川源流を遡ったときも思っ たが、この辺はゆったりと牧歌的な感じがするところだ。・・てなのんびりした 事を言っている場合ではない。
 次第に斜度はきつくなり。右は雪庇状、左は急斜面で追いつめられる。何回 かスキーを外す。両側雪屁の所もある。アイスバーンであれば完全にNGだ。こ こで私はストックを流してしまう。あわてて取りに行こうとして危うく滑落しか かり、かろうじてブッシュにしがみついて事なきを得る。2年前八木ちゃんが舟 越の頭で落っこちたときも物が落っこちてあわてたためだったのを思い出せずに 入られない。

 急斜面をシートラやキックターンの連続で何とかクリアする物のずいぶん時 間を費やしてしまった。わが会の若手、前迫・大宮の両氏も滑りはともかく登り がまだまだ未熟かな。スキーを使った登り、特にキックターンは結構こつがいる 。わが会のメンバーは少し登りの技術を軽視しすぎかな。尾根は予想以上に雪稜 状になりラッセルと難路で初雪山は予想より5割以上も時間がかかる。でもまだ 山頂のガスは晴れない。
何とか難所を切り抜けるとホワイトアウトした白い雪原に出る。頂上の台地は 大きくて、磁石がなければ全くお手上げの地形だ。ここは東西から眺めると平ヶ 岳のように真っ白に見える。もう少しで晴れてくるのではと期待したがまたして も初雪山の大展望にはありつけなかった。けれども全く風はなくおだやか。又こ こでビールを空けて昼休み。

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