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95年3月4日〜5日 <北アルプス>    海の見える白鳥山で山スキー  〜兼 Fyama イグルーオフ〜    古元  一弘 

◆日程 : 前夜発1泊2日(車)

◆コ ース : 上路→品谷左岸尾根p681→

標高800m地点(イグルー泊)→白鳥山→北面滑降

 → イグルーBC → 上路

◆メ ンバ :古元 武富 副枝 宮沢友 他3名

(米山 林 奥村)

◆地形図 : 1/2.5万図 親不知

毎年3月の第1週は天気も良いことが多いので必ず山スキーに行くことにしていたが、流石の私も企画意欲が衰えたのか今年は特に行きたいところも浮かばない。そこで長年こだわってきた栂海の一角の白鳥山にのんびり1泊2日で行く計画(アプローチが長いことを考えなければ日帰り可能)を立ててミーティングでメンバーを募ると、需要と供給が一致したのか直ぐにメンバーが集まった。

一方パソコン通信niftyの山のフォーラムで長野の米山さんと林さんが黒姫山に登ってイグルーを作った話が載っていて、私もイグルー作ってみたい、イグルーオフ(オフ:オフラインミーティング…通信以外のおつきあい)やりましょう。なんてメッセージをボード(電子会議室と言うと堅いな〜)上に出しておいたんだけれど、お互いに予定もあることだから、なかなか具体化しそうもない。じゃあいっそこっちのプランにお誘いしてしまおうとメッセージを上げたところ、あにはからんや、思いの外トントン拍子にお話がまとまって、筑波の奥村さん(山登魂所属)と7人で白鳥山に山スキーとイグルー作りを目的に行くことになりました。

NHKカメラマンの米山さんが作ったキャッチコピーは「海の見えるイグルーに泊まり、豪雪地帯の粉雪を滑ろう」でしたが、どうなる事やら。

◆3月4日 雪のち曇り、夜雪

<上路からイグルーBCまで>

流石に富山県境は遠い。2時過ぎにたどり着いた我々鈴蘭隊前夜祭もそこそこに切り上げて市振の駅で駅寝させてもらうが、明け方やってきた新聞配布のオッサンとオバハンが縄張りか何かで喧嘩を始めたのは参った参った。やるんなら外でやってくれ〜!

さて駅を出ると直ぐ富山県境の境川だ。ここから上路まで車で10分程、途中で車中ビバークしていた奥村さんを拾う。上路に着くと大粒の牡丹雪が舞っている。道の両側の雪は1m半ほどありまずまずの積雪量だ。下の方の藪が今回で一番懸念される事項だから。待つことしばしで米山林の長野組が現れる。なんとかそろってほっとする。もう一つの懸念事項は未だお互いの顔も知らないパソ通仲間が上手く集合出来るかどうかだったのだ。

上路の神社の裏から沢筋を横に見ながらシールで上がる。尾根に上がる最初の急斜面が偉く大変で先が思いやられたが、尾根にさえ出てしまえばもうこっちのもの。視界もそこそこあってまあ順調に登り始める。650mからは急斜面を避け右の尾根にトラバース、この尾根が元の尾根と合流するところで大休止のつもりが、米山さんのイグルー適地とのご神託をあおいで、さっそくここでイグルーを作り出す。

<イグルー作り>

先ず、目的地を整地、踏み固める。次に1m×2m位の長方形の穴をブロックを切り出しながら作っていく。深さ2m程に達したら穴をドーム型にするために底の方から広げていく。 一方外からは、ブロックを少し楔形に整形し、四隅のコーナーの所からブロック同志ががもたれ合うように屋根を作っていく。いかに大きなブロックが作れるかが課題だ。ところが雪の中の方は弱層が沢山在って、大きなブロッ クを作ろうとするとスポッと剥がれてしまうので結構大変(しかしこんなに弱層があるんじゃ、テストしたらどこも歩けないんじゃ無かろうか??)

戸口の所は幅50cm程度、この上には特別製の大きなブロックを 積む。最初は不安定なブロックも一旦位置が定まれば焼結による雪の結合が始まって、どんどん安定してくる。

大きなイグルーを作るのはかなり困難らしいとのことで、今回は4人用、三人用を隣り合わせて一個ずつ作る。下をどんどん掘り下げて、横にも広げて、ついには隣のイグルーとのトンネルが開通し、前代未聞?のダブルイグルーが完成した。作り方を教わりながら、初心者5名講師一名経験者一名でも完成まで2時間、慣れれば一時間半かからずに出来るって話は心強い。雪洞で同じものを作ろうとしたら2時間半はかかるだろうから効率は良い。ただし良いブロックを作るためには大型で直線的なスコップがあることが望ましい。未だ遊びに行く時間も充分だったがあまり天気も良くないのでそのまま宴会モードに入ってしまった。外を見ると時折視界が開け、たまに鉛色をした日本海が目の下直ぐに見える。

夜になると寒気が入り雪が降り出す。七名とも大きい方のお部屋に集まり、宮沢さん副枝さんの手によるちゃんこ鍋で宴が始まる。自己紹介に始まりお互いの山の話など延々に、米山さんの高笑いが妙に印象的。ところで、ちょっと酒が切れてくるとイグルーって案外寒い。用事のため外に出ると、中の明かりが結構隙間から煌々と明るい。中で暖められた空気がブロックの隙間の柔らかいところを溶かして出てしまうかららしい。これは柔ら雪で少々埋めただけじゃ直らないようだ。


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