尾瀬沼冬紀行
古元 一弘
◆コース
◆地図 : 1/2.5万図 三平峠、燧ヶ岳
ゲートの前で仮眠、車は町営の1番下の駐車場へ置いておく。昨夜から10cm 程雪が積もり、大清水までの林道はスキーで歩くことが出来る。ここからクロ カンの2人組と山スキー4人組3パーティが大清水まで抜きつ抜かれつ。大清水 からは4人組が脱落し、クロカン組と交互にラッセル、すね〜ヒザしたくらいの ラッセルが続く。一ノ瀬では軽のシールが外れ着かなくなって、3カ所で針金で 縛って出発、この当たりから軽は音を上げ始めたので、ガンバレ、気力、根性ダ !っとまるで大学生の錬成みたいになってしまった。
荷物を移したりして何とかがんばるが、なかなかはかどらない。焦りのため進 路を少し左よりに取りすぎますます時間をロスし、ついに三平峠付近の樹林でツ ェルトピバークする事にした。ツェルトを張っていると外におっぽり出した日本 酒があっと言う間に凍っていく。それでも幸いほとんど風がないので快適なピバ ークが出来た。軽の荷物は日本酒がビン毎出てくるは豚汁は汁ごと出てくるは, 恐れ入る。やっぱりちゃんと教育せねばいかんわい。
日本酒も凍れる寒さもツェルト張り
鍋など作ればそれで幸せ
◆2/11 三平峠〜長衛小屋〜燧ヶ岳森林限界付近〜長衛小屋
朝になると未だ雪は舞っているが風もなく雲は薄い。雪が深いのでシールを 貼ったまま直ぐ下の尾瀬沼に下り沼の上を長衛小屋を目指す。沼の上の雪は締ま っていて歩きやすい。次第に雲が晴れ、雪雲の中から燧ヶ岳が姿を現す。広々と した開放感、空の広さ、針葉樹の黒い森に囲まれた静けさ。やはりここは来るだ けで素晴らしい
雪光る尾瀬沼立てば燧ヶ岳と空の広さを君に云いたし
小屋には10時前に着いたが、困ったことに、あまりの大雪で冬季小屋の入 り口が見つからない。小屋番も出かけていて聞くことも出来ず、燧遠征に行かな い柏木に入り口の捜索を任せて燧へ出発する。
もう11時近く、かなり厳しい時間だ。浅湖湿原の奥から上陸し針葉樹の美 しい深い森の中を進む。5mを越える積雪でも樅などの木は大きく立派に聳えて いる。振り仰げばもうすっかり雲もなくなった青空から、かすかに舞う残り雪が 木漏れ日にきらきら輝いて、幻想的な雰囲気を醸し出す。しかし次第に深く膝ほ どもあるラッセルに苦しめられ、歩けども歩けども燧は遠い