96年 8月 3日 〜 4日  < 南アルプス >

★★★    黒桂河内一の右股〜保利沢下降   ★★★  

古元 一弘

◆日程  :前夜発1泊2日(車)   ◆水系  :富士川/早川  
◆地形図 :1/2.5万図 新倉

◆コ ース :

◆メ ンバ :古元一弘・今井啓二郎・宮沢友美枝(鈴蘭山の会)

◆地形図 : 1/2.5万図 

3年前の本谷遡行,そして昨年の二の右股と素晴らしい渓谷美を見せてくれた 黒桂河内,それではと三匹目のドジョウを狙って1070m付近で滝で出会っている 一の右股に行ってみました。

◇8/3 晴れ 新倉〜一の右股へ
新倉8:10→ダム9:40〜10:00→三ツ釜11:10〜25→五ツ釜12:10〜40  →一の右 股出合13:50〜14:00→一の右股標高1400m地点14:40
<アプローチ>
下山口の田代入り口に車をデポし,小ダムへと延びる林道をてくてく進む。標 高も低く後ろから朝日にカンカン照らされる道はいつもながら暑く,ダムにたど り着いた頃にはいい加減ばてる。
←photo:五ツ釜
<本流遡行〜五ツ釜>
. 直ぐ出てくる直瀑10mを右から明瞭な踏跡で越える。踏跡は獣道らしく上へ 延びて行くが余り深追いせず,その上の暗峡の出口付近に降り,遡行開始。今回 は昨日の雷雨のせいか,これまでの三回の中で最も水量が多く,流水が左右に踊 り,遡行は楽しい。

. 三ツ釜の手前から小滝釜淵が連続する。三ツ釜は側壁は低く緑のトンネルの ようだが,水量の割に狭い中を流水がほとばしり,中を行くのが楽しい。出口の3m 滝は右を登るがハングしていて,空身でなければ厳しい。ここを巻くなら手前 から右側を容易に越すこともできる。

. 一度開けた谷がまた深くなり,左右に蛇行すると小釜,淵が連続するよう になる。ここも緑が深く,木漏れ日が美しく,黒い岩が流水に映えて幽玄で美し い。ちょっとした泳ぎを三回,一個だけは左から小さく巻き突破する。最後の釜 は以前より埋まり気味で泳ぎが少なくなり少し不満。

photo:出合の下の岩床地帯↓

<五ツ釜〜一の右股>
. ここを突破すると沢はややゴーロ状になるが,また次第に狭くなり、やや 開けたゴルジュに小滝,釜,滑が点在する。谷が大きいので陽射しが照り込み明 るい沢である。岩もやや赤茶けた縞模様などで比較的明るい色をしている。水勢 が多いせいか,夏の陽射しのせいかこのあたりは以前より美しく感じられる。遡 行自体もへつりや大岩へのよじ登りなど適度に刺激が利いている。

. 緑の豊かさ,流水との動と静のリズム,そしてその中を自在にルートを見い だし進む。意識と谷とが一体化しているかのような充実感。本谷の遡行は3回目 であるが,実に楽しい。明らかに谷は以前よりすっきりと掃除されていて美く水 も青く澄んでいる。昭和期の伐採の後遺症からの回復の途上なのだろうか。この 谷は無名ではあるが日本有数の銘渓と言っても過言ではない。滑が連続するよう になるともう一の右股の出合に着く。

. 出合の5m滝,次の10m滝は容易に直登。この上はガラガラの荒れ沢になっ ていて右手の斜面から落ちた大岩が散乱し、所々水も伏流になる。この状態は断 続的に続き,1300m付近で傾斜のある広い河原状に開け,良い泊まり場が点在す る。我々はこの上部1400m付近に一夜の宿を定めた。流木豊富で砂地の良い幕場 だ。焚き火をつけているとカモシカの親子が現れキッ,キーと叫んで姿を消す。


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