93年 8月12日〜 15日   <北アルプス>

中級向きでは日本一の美渓か??金木戸川小倉谷     遡行図は一寸お待ちを

古元 一弘 

◆日程 :前夜発3泊4日(車)

◆コース:
◆メンバー: 古元・大宮・武富・柏木(鈴蘭山の会)

◆地図  : (1/2万図)笠が岳・三股蓮華岳・下之本

 笠が岳西面に突き上げる小倉谷は双六谷の支流として、打込谷と並び称される美渓である。しかし暗くて狭いなどと一部に書かれ、人気の程は今一つの静かな谷であるらしい。下部からの遡航記録は書物にはなく、未知との遭遇に胸躍りかつおののく計画となった。

 結果から言うとこの沢はとんでもない掘出物、もしかしたら日本一の美渓と言って見てもよいかも知れない変化のある見事な谷でした。3級上程度のレベルでこれほどの谷はまず無いんじゃないかと思います。

photo:小倉谷の瀞を行く(武富)水の色の美しさは格別 →

◇ 8月12日 快晴 

<アプローチ>

 前夜新穂高温泉の駐車場で夜を明かした我々4人週はは車を双六川林道の車止め前に乗り捨て、上流へと道を急ぐ。入会3年弱、ほとんど毎週のように山へ出かける山狂いの大宮さん、入会1年強で当会のマドンナ、iちゃんをさらっていった(さらわれた?)武富さん。

 入会半年足らず、このあいだやっと就職が決まってさあ山へいくぞの柏木さん、それに長い沢旅では六年目にしてはじめてリーダーをやる古元が今回のメンバー。

 武富さんははまた金木戸川おたくでこの辺の完全制覇にこだわっているらしい。前夜の到着の遅れで就寝は4時近く、出発も超スズランタイムの10時半とレコードものの遅さである。まあ今日は小倉谷に少しでも入れればいいと考えていたからこんなもんでいいや。しかし空も水も真 っ青、林道歩きにはもったえない日和だ。とっとと歩き、昼過ぎに小倉谷出合へ到着。

photo:大釜の下から(武富)森の深さが美しい →

<出合〜第一(小)ゴルジュ>

 小倉谷は双六川の巨大プールに向かって流れ込んでいる。遡行開始はいきなりこのプールを泳ぎわたる事から始まった。

 最初の約1kmは地図上では深々としたゴルジュ記号が連続し、水線も太い。素直に読むと泳ぎの連続になるかと思ったらあにはからんや、浅い明るいゴーロ状で巨岩が散乱している。所々に岩床や深い淵があるものの明るく楽しい道のり。ひょっとして岩魚が掛からないとも限らないので一応竿を振りながらのんびりと進む。所々ある淵も胸ぐらいまでで通過でき、泳ぐほどでもない。

 しばらく行くと小さな滑に大きな釜が現れ釣り人が竿を振っている。いくらをえさにしたえさ釣りで目の前で小さいのがかかる。大きなのは上がらないのでもう下るとのこと。この先次第に廊下状になる。30分程で深いゴルジュ状となり滑の向こうに巨大な釜を持った10m直瀑が現れる直径35mもの釜の色は深いエメラルド色だ。こんなにでっかい釜は今まで見た事がない。柏木君が記念に泳いでみるが、迫力に押されてすぐ戻ってくる。

 ここは右を捲くと、しばらく小規模なゴルジュが続き、瀞、ナメ、小滝Gが連続するが楽しく越えられる。沢が左にカーブするところの内側に格好の河原があり、地図状のゴルジュ地帯も既に終わっているので少し早いが今日はここを1夜の宿とする。焚火も豊富でよい幕場だ。食事も終わり、満腹しつつ更に飲んでいると昨日の夜行の疲れで酔魔がおそい、みんな焚火のまわりでごろごろ寝てしまう。


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