◆ Junction Peak  
【越 後】 94 年 4月16日
苗場山  〜小赤沢より往復〜
 
                      文:前迫  健一

◆日程 :午後発1泊(車)

◆コース:小赤沢集落より往復−−−

◆メンバー:前迫(健)・吉田・直野(淳)・前迫(恵)

◆地図(1/2.5万図): 苗場山

 15日の土曜日の昼過ぎ、東京を出発し、関越道を走る。いつも夜に関越を走るので春の景色のなか、ハイウェイドライブはなにか新鮮な感じがする。
 苗場山に登るにはかぐらスキー場からのコースもあるのだが、秋山郷の名に惹かれてというか、秋山郷を訪れることもひとつの目的でもあった。

 国道117号から道が分かれ、秋山郷に近づくにつれ谷が深く狭くなってゆく。 中津川ぞいの細くくねった道が深い谷底の橋を渡りやがて谷が開けてくると秋山郷に入り、田圃や人家が現れる。どの家も豪雪に対応した造りで、基礎がとても高く、基礎の部分が車庫になっていたりする。屋根は勾配のある切り妻で、雪が積もらずに落ちるようにするためか板状の出っ張った棟になっている。田圃の畦にはふきのとうが顔を出し、入山祝いのつまみに少々つんだりしながら、のどかなドライブである。

 小赤沢集落に着くと、かぐらスキー場から登って下山してきた山スキーヤーに会う。小赤沢沿いの道はずっと除雪してあるとのことなので、除雪の終わるところまで行ってみる。夏道が分かれて大きく右にカーブしたところ、1000m付近のところまで除雪してあった。そこに車をとめ、まだまだ明るいのでのんびりテントを張る。その辺から見る苗場山は台地状の山稜がストンと落ち込んでいる形で眺められる。

 ふきのとうのてんぷらで酒を飲み、明日の晴天を期待しつつ寝る。

◆4月16日 晴れ

 16日は期待通りの晴天。ほぼ夏道に近いルートで登ってゆく。ぶなの林から立派なしらびその林に変わり、1700mから台地状の山稜に這い上がるべく南に進路をとる。岳樺の林になり、急斜面をシールをきかせて登ってゆく。強い陽射しのため雪が悪くなって きて滑る。こういうのが苦手な私がビリっけつでまさに這い上がるという感じで稜線に立つ。
 聞いていた通り、苗場山の上は平で広くのびやかだ。ギアナ高地ではないがテーブルマウンテンという感じでおもしろい。ハイマツの切れ目をぬってピークへと向かう。ピークの近くに屋根だけ出た建物があり、屋根に寄りかかっての日光浴が暖かくて気持ち良い。むこうの方から人が来る。かぐらの方から登ってきたのだろう。

 さて下りをどうしたものだろうと考えたが、頂上直下から小赤沢の源頭に滑り込むのは斜面が急でちょいと恐い気がしたので、テーブルマウンテンのテーブルの上を太陽に向かうようにのんびり滑る。スティービーワンダーのユーアーザサンシャインオブマイライフなんか鼻歌まじりにのびのびした気持ちになる場所だ。
  2036mあたりまで戻り斜面をトラバースしつつ小赤沢へ滑り込む。雪は重く、快適とはいかないが、あっという間に登りのトレースに合流し、雪の下の林道(地形図より林道が奥まで伸びているようだ)をたどって車のところまで戻ってきた。

 下山したら、やっぱり温泉とビールだ。秋山郷にはいくつか温泉があるがこの際一番奥の切明温泉に入って帰ることにした。露天風呂もあったが、ぬるいのでトーチカのような造りの内風呂(混浴であった)にゆっくりと入った。

 今回のコースは秋山郷と苗場山の魅力を充分楽しめ、この時季おすすめのコースだと思う。最後に、いつも通りのことではあるが、私はろくに記録もとっておらず、記憶もあやふやになってからこの文章を書いたため記録としての価値のない文章となってしまったことをお詫びする。

 


●鈴蘭山の会ホームページ  ◆鈴蘭16号の目次