◆ Junction Peak


【頸 城】 94年4 月9日〜 10日
火打山〜空沢尾根〜笹倉温泉滑降

  〜火打北面の快速ルート〜

                      文・写真:木下 久義

◆日程 :前夜発1泊2日(電車)

◆コース:
       妙高国際スキー場〜三田原山〜高谷池ヒュッテ(泊) 〜火打山〜新建尾根ドーム〜火打沢〜アマナ平〜笹倉温泉

◆メンバー:木下、古元、村松、大宮

◆地図(1/2.5万図): 赤倉、妙高山、湯川内

 火打山周辺には標高差2000mもの滑降を楽しめるルートがいくつかある。火打山〜澄川、焼山〜笹倉温泉などガイドに載っている有名ルートもあるが、1/2.5万図上で火打山ピークより笹倉温泉へ滑降しようと考えると、この空沢尾根のルートが自然と浮かんでくる。
 さてと、色々と記録を調べてみるとさすがにパイオニアはいるものでいくつかの記録が見出だせる。我会にも同じ様なことを考える人はいるものでやはり「古元氏」であった。例会で地図を広げているとヌッと現れ、「どこの予定?」と聞くと地図上の同じルートをなぞった。

 今回は条件にも恵まれ、火打山ピークより笹倉温泉への標高差2000mの変化に富んだ大滑降を楽しめた。焼山北面台地より振返れば今後も楽しみな課題が見出だせる

◆ 4/9(雪)
<国際スキー場から三田原山>  妙高国際スキー場のゴンドラ、リフトを乗り継げば標高1885mまで運んでくれる。山スキーのパーティーが数パーティーいるが、元気よく先陣を切って出発。すぐ現れる沢を渡って三田原山への山腹に取付く。しばらくは急登だが、ダケカンバの疎林の中のシール登高は快い。三田原山の稜線は4月にしては少々冷たい風と雪が舞っているが、視界はきいている。

<黒沢池〜高野池>  三田原山のピーク付近よりシールをはずして、アイスバーン状の林間を滑り、途中から右手の沢に入ると新雪が楽しめた。傾斜がゆるくなったところでスキーを真直にそろえて進むと真白く開けた黒沢池に出た。音もなく舞い落ちる雪の原の中で大休止した後、茶臼山と黒沢山との鞍部を目指してシール登行し、コンパスを合わせてトラバース気味に登ると高谷池ヒュッテが現れる。
 ヒュッテは3Fが開放されており、1泊¥1000−也。今日は天候も思わしくないので後はのんびりと過ごす。4人とも飲ん兵衛なので、自慢のツマミを作っては楽しい酒宴を開く。

◆4/10(晴)
<高野池ヒュッテから火打山へ>
 好天である。同宿のパーティーがぞくぞくと出発する中、アイスバーンがゆるむのを待ちたいので、のんびりと出発する。新雪は20cm位、先行パーティーのトレ−ルが頂上へ伸びている。

 火打山々頂直下からみる澄川源頭は柔らか な新雪に覆われ、山スキーヤーの心をくすぐる素晴らしいスロープだ。山頂は大勢のスキーパーティーで賑やかであったがほとんどは高谷池ヒュッテへ戻る様だ。
 周囲の展望は素晴らしく、北アルプスの銀屏風、海谷の山々の異様、そしてこの火打山、焼山、金山、昼闇山は山スキーのパラダイスである。

<新建尾根〜空沢尾根>
 さて我々も出発だ。雲海の上に浮かぶ新建尾根ドームを目指してクラスト気味の尾根を滑る。適当にエッジもきき楽しく滑り、ドームへはほんの少々登り返す。
 

 ドームからはそのまま空沢尾根に入ると雪の付きが良くないので北面の凹地へ一端滑り、空沢尾根に乗る。空沢尾根はフヨ沢側が切れ、雪庇も出ているので細い西側斜面を使いながら高度を落とす。

<西斜面滑降から焼山溶岩台地>
 標高2050m付近より右手の1740m標高点に向けて滑降する。ダケカンバの疎林の25°程の快適なスロープを楽しめるが、アイスバーンの上に新雪が乗っていて、思わずオーバースピードになる。

 標高1800m付近より左手の沢へトラバースし、広い沢筋を滑降する。雪質は太陽に照らされて重い新雪になるが、30度位の無立木のスロープに思い思いの円弧を描く。延々と広がる焼山北面台地と昼闇山が大きな山容に姿を変えていく。
 沢から降り立ったところは空沢尾根と影火打からの急峻な尾根に囲まれたまさしく「内院」の様なところで火打山はルンゼを従えて胸壁状の高みに鈍三角形のピークを白く光らせている。焼山のドーム状の山容が大きい。

<溶岩台地〜笹倉温泉>  進路は広大な雪原が広がっており、緩斜面にスキーを走らせる。標高1320m付近で 1/2.5万図にある賽ノ河原の表記のある雨裂溝を渡ると、焼山方面からのスキートレースと出合った。

 焼山北面台地からアマナ平へ滑り込み、台地上のいくつかの小山をトラバース気味に通過する。台地末端の林道の九十九折りを所々ショートカットして下りきり、笹倉温泉までスキーを使い切ることが出来た。

                  写真上:火打への登高    写真下:溶岩台地への大滑降


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