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  94年8 月27日〜28日 【谷川連峰

東黒沢からナルミズ沢へ
             〜 すずらん一年生の沢登り 〜

  文:宮沢 友美枝      

◆日程 :前夜発1泊2日(電車)

◆コース:湯桧曹川東黒沢出合〜東黒沢〜丸山乗越〜ウツボギ沢一ノ沢〜宝川出合〜大石沢出合上(泊)〜ナルミズ沢〜ナルミズ沢左股〜JP〜朝日岳〜笠ヶ岳〜白毛門〜東黒沢出合

◆メンバー:古元・向井・直野・宮沢友

◆地図(1/2.5万図):茂倉岳

 夏休みも終った8月末、北の海ばかり遊んでいるうちに、どうやらやまはジワジワと秋に向っているらしい・・ということにハタと気が付き、うーん〜、じゃぶじゃぶ水に入って沢を楽しめる季節を逸してしまったかなーっと少々残念に思っておりましたところ、何ともうれしいお誘いが・・・、ケガから復活したばかりの向井さんと夏休みのキビシイ山行のあとでのんびりしたがっているらしい古元さんが、沢登り若葉マークの私たち二人を明るくて易しい沢につれていって下さるとのこと。もう喜んでついて行くことにしました!。

 行程は東黒沢から丸山乗越を経てナルミズ沢へ。フィナーレは長〜い縦走路が待っている。

◆8月26日
 前夜、土合付近の駐車場隅に建つ小屋の軒先を借りて軽く宴会、仮眠。すずらんに入って3度目の山行だが、みんな軒先を探すことにかけては天才的だなと感心してしまう。

◆8月27日晴のち曇
<東黒沢からウツボギ沢へ>

 翌朝天気は上々、すっかり明るくなった駐車場であたふたと準備、いざ出発。工事現場の脇を通り抜け東黒沢左岸を少し行き、沢に入る。東黒沢は滑のキレイな沢で、小さい滝があったり、滑どこが続いたり、とても気持がいい。我らひよっ子たちも足取り軽くズンズン進む。

 滑が赤っぽくなり、ややずっとあって丸山乗越に出る。ブナの森をしばしさまよい、再び沢へ。読図能力に乏しい私にはこうゆーのがとっても不思議。ちゃんと沢から沢へつながったのが魔術のように思えてしまうのだ。

 情けないことに..。思えば去年の秋、白神の沢でつめの所で、迷って選んだ沢が大はずれ。根曲りの海を延々泳いで延々4時間・・・・・なんてことがあったが・・・・。さて話は戻りこんどは細い川筋を下っていく。後で会った地元の人の話ではこの当りは熊が出没するらしい。い・か・に・も〜 という感じ。

<ナルミズ沢へ>

 1時間位でウツボギ沢に出て、いよいよ宝川ナルミズ沢に足を踏み入れる。川幅が広がり目の前が開け、開放的な気分だ。流れは穏やかでみんな思い思いに歩く。所々小さな滝と釜が現れ、ここぞとばかりにみんな泳ぎ始める。

 2ヶ月前に参加した大水泳大会となった渡渉訓練。雨の降りしきる中寒さに震えながらも、山は足で歩くモノとばかり思っていたド素人の私は、こんなやり方があったのネ!と目からウロコが落ちる思いで感動し、いつか沢で泳いでみたいと思っていた夢が、やっとチャンス到来。ザックが少々邪魔だが気持いい。流れが弱いので簡単に渡れてしまう。やっぱり夏の沢は良いなあ。

 2時間ほどさかのぼり、本日の宿探し。宝川方面から遡ってきたらしい2パーティが大石沢出合当りで、すでに幕営していて、我々はその上流の河原を今夜の宿とする。枝沢でビールを冷し、たき火を集め、整地してツェルトを張り、さあ焚き火。山の夕暮は大忙し。今日はしっかり濡れたので早く火にあたりたい。夕食の支度に取りかかる。と、どうも雲行きが怪しくなってきた。夕立・・・・・・。またまたずぶ濡れになりながらひよっ子たちはせっせと薪をくべ、スイッチをひねれない天然オーブンの火加減に四苦八苦しているうちにやがて雨も上がり、焚き火はどうやら無事で、楽しい晩餐を迎えることが出来た。

◆8月28日 快晴

 一夜開け、本日も快晴。昨夜は完全に乾かずに寝てしまったようで、夜十寒くなかなか寝付かれなかった。一方、フライの屋根だけの男性陣は、ぐっすり眠っている様子で羨ましい。寒さに強くなりたいものだ。

 今日は長い道のりなので早めに出発。さすがに朝から水に入っていく気はしないので慎重にへつっていく。昨日と同様美しい滑、釜、滝が続き気分がいい。やがて2股に出る。山がぐるっと見渡せ、空がぐっと広がり、眺めが素晴しい。本当に明るくて良い沢だ。

 ここで小休止をとり左股へと歩を進める。傾斜が次第に急になり高度をぐんぐん稼ぎながら稜線を目指す。途中雪渓が出てきたりして、緑のじゅうたんと白い雪、空の青さのコントラストが美しい。向井さん曰くここは山スキーできても良いそうだが、スーパーボーゲンの私にとっては夢の話だなあ〜・・・・と一面の銀世界を想像しながらぼおっと考えていた私でありました。

 沢は最終ラウンド、草付にさしかかる。藪こぎでないのは大歓迎だが、足下が良く滑り2歩上がっては3歩下がっているようで、前を行く向井さんがどんどん遠ざかっていく。悪戦苦闘!。どうにかジャンクションピーク右手の縦走路にたどり着いた。!万歳!

 ここからの長い尾根歩きがまた良かった。360度見渡せる大パノラマ。池溏が点在し天上のピクニック気分。自分たちの歩いてきた道筋がよくわかり、地図を見ながら感嘆することしきり。非常に暑いのだが、にわか沢ヤの私には、こんな稜線歩きが我がテリトリーと言う気分でほっとする。目の前の谷川岳が良く見える。あれが話に聞く谷川の壁かあ〜と感動の声を連発していば、バリバリクライマーの向井さんが南稜だったら案内しますよ、などとおっしゃるので、〜えー、ほんとー〜〜、スーパー脳天気な私はその気になりかかったが、秋の岩トレでギャフン。(X_@)

 朝日岳・笠ヶ岳・白毛門のピークを踏み、ぐんぐん下って懐かしの駐車場へ着いた。1泊2日とは思えない充実した山行でありました。

 沢から沢へつないでいくスタイルは山の中を旅しているみたいで、フィールドは何であれ旅したい私にはうれしい山行でした。課題はいっぱいあるけど、マタギのように山の中を自由に駆け巡れるようになりたいなあ。


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